日帰り網膜硝子体手術
Day Surgery
網膜硝子体疾患とは
水晶体のさらに奥が異常をきたした状態で、その疾患は多くありますが硝子体出血・網膜剥離などがよく知られています。その症状に対して適切な治療および手術を行います。
当クリニックで行う「25G硝子体手術」は、わずか0.5mmほどの穴を3カ所開けるだけで手術が可能になりました。傷口が極めて小さいため、縫合することなく手術が終わります。このため、従来の手術に比べて手術後の目の違和感や痛みは極めて少なくなります。
さらにこの度、当院では多機能、高機能に進化した最新の手術機器を導入いたしました。
経験豊富で熟練された術者の、短時間で安全安楽な手術により、日帰り手術が可能となっている限られた施設です。
スタッフ一同、患者様にとってのより良い生活のため、今後も進化していく手術に向上心をもって取り組み、最善の形で提供していきます。
緊急手術にも対応しています。
様々な網膜硝子体疾患
硝子体混濁・出血
病気の原因
正常な硝子体は無色・透明で生卵の白身に似た状態の組織ですが、この部分が何らかの原因で混濁(濁って)している状態が「硝子体混濁」です。
混濁を起こす原因として考えられる疾患に以下が考えられます。
- 後部硝子体剥離、網膜裂孔(網膜剥離)
- 増殖性硝子体網膜症
- 網膜中心静脈閉塞症
- 加齢性黄斑変性、網膜下新生血管
- 外傷
- ぶどう膜炎
- 眼内炎(目の中の感染症)
- その他
手術の必要性と放置した場合の可能性
硝子体混濁(出血)は自然経過で吸収する可能性もありますが、一度吸収しても繰り返すことが多く、再発を繰り返しているうちに自然吸収しにくくなります。また、長い間硝子体出血があると、血液の中にある鉄分によって網膜の機能が低下し、血液が吸収されてもあまり視力が改善しないことがあります。
更に、大切なことは混濁(出血)の原因となった疾患を的確に治療することです。この原因となった疾患に対する根本的治療が遅れると失明する可能性も考えられます。
手術
硝子体手術で硝子体を(硝子体出血がある場合は出血も同時に)取り除きます。眼底(網膜)の状態が確認でき、混濁(出血)の原因となった病気が明らかとなればそれぞれの原因疾患に対する治療を行います。
- 後部硝子体剥離、網膜裂孔(網膜剥離)
- 増殖性糖尿病網膜症
- 網膜中心静脈閉塞症
網膜中心静脈閉塞症の場合には網膜の血管が閉塞している部分にレーザー凝固を行います。 - 加齢性黄斑変性、網膜下新生血管
この場合は網膜の下にある新生血管の場所が確認できていればその部分に対して、レーザー治療を行います。新生血管からの出血が硝子体だけではなく網膜の下にも溜まっている場合には、網膜に小さな穴をあけて網膜の下にある血液を抜きながら目の中に空気などを入れて網膜を目の内側から外側に押し付けます。 - ぶどう膜炎
ぶどう膜炎によって網膜に変化がある場合、レーザー凝固等、必要に応じた治療を行います。さらに手術で採取した硝子体についていくつかの検査を行い手術後の治療方針を決めることもあります。 - 眼内炎(目の中の感染症)
目の中の感染症によって網膜に変化がある場合、レーザー凝固等必要に応じた治療を行い、さらに感染に対して効果が期待できる抗生物質(薬)で目の中を洗い流します。手術で採取した硝子体についていくつかの検査を行い手術後の治療方針を決めることもあります。
増殖性糖尿病網膜症
病気の原因
網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ、無数の細かい血管が張り巡らされています。
血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。新生血管はもろいために容易に出血を起こします。
また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年から10年以上経過して発症するといわれていますが、かなり進行するまで自覚症状がない場合があります。
手術の必要性と放置した場合の可能性
新生血管緑内障
新生血管が虹彩(茶目)の部分まで及び、眼内の水が循環する部分(隅角)の働きを阻害することにより眼内の圧(眼圧)が上がり、緑内障になります。
また、急激に眼圧が上がると激しい頭痛、眼痛、吐き気、嘔吐に襲われ、視神経や視野に障害が起こります。
失明の可能性
糖尿病網膜症による失明者数は年間3000人にもおよび、日本国内の成人の失明原因の第一位です。
糖尿病網膜症は自覚症状がないまま進むことがありますので、放置しておくと失明する可能性があります。
手術
硝子体手術
- 硝子体を(硝子体出血がある場合は出血も同時に)取り除きます。
- 網膜に癒着している線維性血管膜を除去します。
- 出血がある場合はレーザー凝固を行います。
- 網膜を眼内から眼球壁に強制的に押し付ける目的で眼内に空気などを入れます。手術後は「うつむき姿勢」をとって頂く必要があります。
網膜裂孔、裂孔原性網膜剥離
網膜裂孔、裂孔原性網膜剥離とは?
1. 裂孔原性網膜剥離
網膜剥離の中で最も多くみられるもので、網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開いてしまい、目の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生します。一般に、はじめのうちは剥離した網膜の範囲は小さく、時間とともにだんだんこの範囲が拡大するというような経過をたどりますが、孔が大きいと一気に進みます。
剥離が進行すればすべての網膜が剥がれてしまいます。網膜に孔が開く原因として、老化・網膜の萎縮・外傷などがあります。剥がれた網膜は光の刺激を脳に伝えることができません。
また、剥がれた網膜には栄養が十分行き渡らなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下してしまいます。そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。
遠視・正視よりも近視、特に強度近視でより多くみられ、どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが20代と50代の人に多いといわれています。
2. 非裂孔原性網膜剥離
牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。裂孔原性網膜剥離と同様に網膜剥離が起きた状態ですが、原因、経過はさまざまであり裂孔原性網膜剥離とは大きく異なります。
牽引性網膜剥離は眼内に形成された増殖膜あるいは硝子体などが網膜を牽引することにより網膜が剥離して起きます。重症の糖尿病網膜症などでみられます。
滲出性網膜剥離は、網膜内あるいは網膜色素上皮側から何らかの原因で滲出液が溢れてきたために網膜が剥離してしまった状態です。ぶどう膜炎などでみられます。
手術の必要性と放置した場合の可能性
網膜剥離の前駆症状として飛蚊症(小さなゴミのようなものが見える症状)や光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することがありますが、無症状のこともあります。病状が進んでくると視野欠損〔カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状や視力低下が起きます。
また、剥離が網膜の中心部にある黄斑部にまで及ぶと失明します。網膜には痛覚がないので、痛みがなく進行していきます。 また、一度剥離した網膜は自然には元に戻らず、手術で強制的にもとに戻すしかありません。一日でも早く手術を行う必要があります。
手術
■網膜に円孔、裂孔があっても網膜剥離が起きていない場
- 硝子体を取り除きます。
- 円孔、裂孔の周囲をレーザー凝固または冷凍凝固を行い網膜剥離に進行するのを予防します。
■すでに網膜剥離が起きている場合
基本的術式(バックリング法)
- 網膜剥離が起きている場所に冷凍凝固を行います。
- 網膜の下に溜まっている水を排除します。
- 眼球壁に外側から幅2mmのシリコンバンドで“はちまき”をします。
- 必要があれば、さらに目の中にシリコンの油をいれて手術を終了します。
その他の術式(硝子体手術)
- 硝子体を取り除きます。
- 網膜の下に溜まっている水を排除します。
- 網膜剥離の部分をレーザー凝固または冷凍凝固します。
- 網膜を眼内から眼球壁に強制的に押し付ける目的で眼内に空気などを入れます。手術後は空気などが円孔にあたるように「うつむき姿勢」といって、角膜(くろめ)が地面を向くような姿勢をとって頂く必要があります。
合併症について
- 駆逐性出血
手術中に眼圧が下がることによる出血です。手術方法の進歩により頻度は極めて少なく、これによる失明もほとんどなくなりました。万一の場合、直ちに処置をして救急医療施設へ搬送する場合もあります。 - 眼内炎
数千件に1件程度の割合で手術中や術後の経過中に細菌が眼内に入って感染することがあります。
術後数日~1年くらいの間に発症することが多いようです。万一の場合、当院でできる限りの処置をしたうえで、場合によっては大学病院へ搬送して治療することもあります。急に視力がおちたり、痛みの強い場合はためらわず受診してください。早期の処置が大切になります。 - 硝子体出血
手術中、術後に何らかの原因により網膜の血管から出血することがあります。
出血自体は短期で止まることがほとんどですが、硝子体内の血が吸収されるまでには2~3か月かかる場合があります。光が出血によってさえぎられて網膜にうまく届かなくなるので、飛蚊症(ひぶんしょう)・霧視(むし)・視力低下などを起こします。また、場合によってはレーザー治療や硝子体内を洗う場合があります。 - 再発
くっついた網膜がまたはがれることがあります。
その場合は再び手術が必要になりますので、手術後の「うつむき姿勢」などの指示をお守りください。 - 網膜裂孔、網膜剥離
手術中に硝子体を牽引することにより、手術している部分とは別の部分に網膜剥離が起きる場合があります。この場合は手術中に治療を行いますが、術後眼球の前方に残してあった硝子体(前方の硝子体は網膜と強く癒着しているため切除しきれません)が収縮し、網膜を引きちぎるような力が加わるために、網膜裂孔・剥離が生じることがあります。術後数ヶ月から約1年の間に約5%の人に起こります。 - 増殖性硝子体網膜症
まれに手術後に増殖膜というよくない膜ができることがあります。
この膜が引っ張られることによって網膜剥離をおこします。起きる確率は数パーセントといわれていますが、治療は主に手術になり、なるべく早くの治療が必要です。
だんのうえ眼科がタウンニュースで取り上げられました!
黄斑円孔
黄斑と呼ばれる網膜の一部分に穴があいている状態です。症状は見たい部分が暗くなって見えたり(中心暗点)、視力低下がみられ、治療方法は硝子体手術となります。
加齢黄斑変性
加齢や生活習慣の欧米化などが原因で、網膜の中心部である黄斑部の機能が障害される疾患です。
進行とともに、物がゆがんで見えたり(変視症)、ぼやける(視力低下)、全体的にものが不鮮明に見える(コントラスト感度の低下)、見たい部分が暗くなって見える(中心暗点)といった症状が現れ、失明に至る場合もあります。
治療方法には光線力学的療法、レーザー光凝固術がありますが、当院では患者様に負担の少ない抗VEGF剤の硝子体内注射を採用しています。
網膜静脈閉塞症(網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症)
眼の奥の血管で動脈硬化が起こると、動脈が静脈を圧迫して静脈内の血流が滞ります。そうすると血液が凝固し血栓ができて静脈が閉塞します。すると網膜へ血液や水分が漏れ出て、眼底出血や黄斑浮腫をおこします。 また、毛細血管の代替としてもろい血管(新生血管)が生じ、この新生血管が硝子体へ伸びて破れることで硝子体出血や網膜剥離を引き起こすことがあります。
治療方法は、抗VEGF剤の硝子体内注射、レーザー光凝固術、硝子体手術です。
網膜硝子体手術
『25G硝子体手術』は多機能、高機能に進化した最新の手術器械を用いて行われます。経験豊富で熟練された術者の、短時間で安全安楽な手術により、日帰り手術が可能となっております。
局所麻酔後、わずか0.5mmほどの穴を3か所開けそこから器具を挿入し、硝子体を取り除きます。
その後症状に応じて、網膜に癒着している膜を除去したり、出血がある場合にはレーザー凝固を行います。
網膜を眼球壁に押し付ける目的で、眼内に空気や医療用ガスを注入することもあります。その場合、1週間程度うつむき・うつぶせの姿勢をとって頂く必要があります。
日帰り網膜硝子体手術の流れ
問診・血液検査
網膜硝子体手術を受けるには、手術が問題なく行えるか様々な検査をいたします。
検査内容
- 視力、眼圧、屈折検査
- 眼底検査(網膜の状態を調べる)
- 細隙灯顕微鏡検査 (水晶体に濁りの状態を調べる)
- 角膜内皮細胞検査 (角膜の内皮細胞が減っていないか調べる)
- 眼軸長検査 (眼内レンズの度数を決める)
- 問診、血圧検査
手術
網膜前線維症(黄斑前膜)の場合
- 硝子体を取り除きます
- 網膜に癒着している薄い線維性の膜を除去します
- 網膜の他の部分に穴などがあれば、必要に応じて処置を行います
- 網膜に癒着している薄い線維性の膜を除去する際に、網膜に小さな傷や裂け目ができることがあります。
この場合、これらの傷や裂け目に対してレーザー凝固を行い、さらに、必要があれば網膜を眼内から眼球壁に強制的に押しつける目的で眼内に空気などを入れます。空気などを入れた場合、手術後、空気などが傷や裂け目に当たるように「うつむき姿勢」といって、角膜(くろめ)が地面を向くような姿勢をとって頂く必要があります。
手術後は?
直後~2週間下記の症状が表れますが、数日から1~2週間ほどで治ります。
- 手術直後は、目が充血することがあります。
- 目がゴロゴロすることがあります。
- 涙がでる
- 目がかすむ
詳しくはお問い合わせください。
抗VEGF剤の硝子体内注射
抗VEGF剤の硝子体内注射は、新生血管の成長を抑え、新生血管からの滲出液や出血を止めることにより症状を改善します。また、浮腫の原因となる網膜静脈からの血液成分の漏れを抑制し、黄斑浮腫を改善します。
インフォメーション
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●:診療 ※日・祝診療
※2024年6月より火曜日も診療をおこないます